「主幹ブレーカーの容量は決まったけど、幹線は何sqを引けばいい?」「CVとVVF、どっちのケーブルを使うべき?」

現場で分電盤の新設・更新をしていると、主幹ブレーカーの容量までは決まっても、幹線ケーブルの太さで一瞬手が止まることがあります。細すぎれば発熱・火災リスク、太すぎればコストと施工性の無駄です。

この記事では、第一種電気工事士が、主幹ブレーカー容量と幹線太さの対応を早見表にまとめました。あわせて、契約アンペアが「ある」エリアと「ない」エリア、それぞれの主幹容量の決め方も整理しています。電技解釈の根拠条文、125%ルールが適用される範囲、CV・VVFの使い分けまで、現場で迷わず即答できることを目標に整理しています。

主幹ブレーカー容量の決め方は大きく2通り

主幹ブレーカーの容量をどう決めるかは、その現場の電気の契約方式で分かれます。旧一般電気事業者の規制料金(従量電灯)にアンペア制と最低料金制の2通りがあり、後者には「契約アンペア」という考え方がないためです。まずどちらのエリアかを確認してください(同じエリアでも契約種別によって契約方式は変わるため、最終的には契約中の料金メニューと供給条件で判断します)。

課金方式エリア契約アンペア主幹容量の決め方
アンペア制北海道・東北・東京・中部・北陸・九州あり(30/40/50/60A等)ルートA:契約アンペアを目安にする
最低料金制関西・中国・四国・沖縄なしルートB:住宅面積・負荷容量から算出

最低料金制のエリアでは、分電盤にアンペアブレーカー(リミッター)も設置されません。関西電力の従量電灯Aは「基本料金がなく、最初の15kWhまでは一律の最低料金」「最大需要容量が6kVA未満のお客さま向け」という体系で、契約時にアンペアを選ぶ仕組み自体がないためです。

ルートA:アンペア制エリア(契約アンペアを目安にする)

住宅用の単相3線式(100V/200V)でアンペア制のエリアでは、契約アンペアを目安に、それ以上の定格の主幹ブレーカーを選ぶのが実務上の考え方です(筆者の見解)。ただし両者は別物です。パナソニックの技術Q&Aでは、主幹ブレーカーは「引込幹線を保護するのが目的で、片相の総和が定格を超えると動作」、リミッター(アンペアブレーカー)は「電気使用量を制限するのが目的で、両相の総和が定格を超えると動作」と説明されています(Panasonic ブレーカーに関するQ&A)。主幹の定格は最終的に電技解釈第148条(幹線の許容電流と負荷)で決まり、契約電流と同じ数値になるとは限りません。

契約アンペアは電力会社のスマートメーター(またはアンペアブレーカー)側で上限管理されているため、分電盤内の主幹ブレーカー(住宅用分電盤では漏電遮断器を内蔵したタイプがあります)は契約容量より小さい定格にしないのが目安です。世帯構成別の契約アンペアの目安は分電盤の選び方で解説しています。

ルートB:最低料金制エリア(住宅面積・負荷容量から決める)

契約アンペアという入口がないだけで、主幹容量の決め方はきちんとあります。実務で使いやすいのは、住宅面積から最大需要電力を想定して主開閉器(主幹)の定格を選ぶ方法です。分電盤メーカーの技術資料(内線規程「資料3-6-5」に基づくものとして河村電器産業などが公開)で広く紹介されている目安は次のとおりです。原本は内線規程(JEAC 8001)で確認してください。

住宅面積主幹(主開閉器)の定格電流想定する最大需要電力計算値
50m²(15坪)以下30A4,000VA26.0A
70m²(20坪)以下40A5,000VA32.5A
100m²(30坪)以下50A6,000VA44.0A
130m²(40坪)以下60A7,000VA50.5A
170m²(50坪)以下60A8,000VA57.0A

計算の考え方は次の式です(単相3線式)。

主開閉器の定格電流(A) = 最大需要電力(VA) ÷ 100(V) × 1/2 × 1.3(不平衡安全率) + 加算する値(A)

一度に見ると分かりにくいので、100m²(30坪・6,000VA)を例に4つに分けます。

順番することなぜそうするか6,000VAの場合
÷ 100V100Vで流したときに何アンペア必要かを出す60A
× 1/2単相3線式は電圧線が2本あり、電流が2本に分かれる30A
× 1.32本にきれいに半分ずつは分かれないため、偏りに備えて3割の余裕をみる39A
+ 加算する値50m²・70m²は0A、100m²以上は5A44.0A

分かりにくいのは②です。家庭に来ている電気は単相3線式といって、100Vの電圧線2本と中性線1本の計3本で届きます。電気の使い道が2本に振り分けられるため、1本あたりに流れる電流は半分で済みます。③の1.3倍は、その振り分けが実際には半々にならないための余裕です。

そしてブレーカーは既製品なので、定格のサイズが決まっています(この表では30A・40A・50A・60Aの4種類)。44.0Aという製品はないので、計算値を上回る直上のサイズ=50Aを選びます。

契約容量(kVA)との関係

最低料金制エリアの契約容量は、接続する機器の設備容量を一定の基準で割り引いて合計した「最大需要容量」で決まります。関西電力の場合、6kVA未満なら従量電灯A、6kVA以上(原則50kVA未満)なら従量電灯B=kVA契約です。

従量電灯B等では主開閉器契約という方式も選べます。これは幹線に施設した配線用遮断器(契約負荷設備を一括して遮断できるもの)で契約容量を決める方式で、単相3線式なら次の換算になります。

契約容量(kVA) = 主開閉器の定格電流(A) × 200(V) ÷ 1,000

主開閉器が60Aなら 60 × 200 ÷ 1,000 = 12kVA です。この方式では主幹ブレーカーの定格がそのまま電気料金に直結するため、必要以上に大きい主幹を選ばないことがコスト面でも重要になります。実際にどの契約区分になるかは電力会社が供給約款に基づいて判定するので、容量変更を伴う工事では事前に電力会社へ確認してください。

【早見表】主幹ブレーカー容量と幹線太さ対応表(CV3心・気中・単独布設)

CVケーブル(3心・低圧)を幹線に使う場合の、許容電流とブレーカー容量の対応は以下の通りです。この対応関係はエリアを問わず同じ考え方で、ルートA・ルートBどちらで主幹容量を決めた場合も使えます。ただし値は下記の布設条件での代表値です。

幹線サイズ(CV 3心)許容電流
(気中・単独布設/40℃)
対応する主幹ブレーカー容量契約アンペアの目安(アンペア制エリアのみ)
2sq23A20A20A(事業者により選択肢が異なる)
3.5sq33A30A30A契約
5.5sq44A40A40A契約
8sq54A50A50A契約
14sq76A60A60A契約
22sq100A100A

※上記は600V CV 3心を気中布設(暗きょ含む・単独)した場合(基底温度40℃)の代表値です。布設方法が変わると値も変わります——電線管内・管路引入れ、多条布設、周囲温度が高い場合は減少補正が必要です(直埋・地中は基底温度など条件が別で、メーカー表では別の値になります)。メーカーによっては同じ3.5sqでも26A程度としている表があります。実際の布設条件に対応する値を、内線規程 JEAC 8001-2022 の該当表または使用するケーブルメーカーの許容電流表で必ず確認してください。この表は容量の当たりをつけるためのもので、これだけで幹線を確定しないでください。

幹線サイズ選定の実務ルール(電技解釈第148条)

低圧幹線の施設基準は電気設備技術基準の解釈 第148条で定められています。要点は次の2つです。

  1. 電線の許容電流は、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計以上であること
  2. 幹線を保護する過電流遮断器(主幹ブレーカー)は、原則として幹線の許容電流以下の定格であること

つまり「主幹ブレーカーの容量を先に決めて、それに見合う許容電流を持つ幹線を選ぶ」という順序が実務的で、早見表の対応関係もこの考え方に基づいています。

CVケーブルとVVFケーブルの使い分け

住宅の配線は、大きく分けて2つの区間でケーブルの種類が変わります。

  • 責任分界点〜分電盤(引込口配線・低圧幹線):本記事ではCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)を例にします(引込口配線にはDV・SVなどが使われる場合もあります)。太い断面積(sq表記)に対応しやすく、幹線のような大電流区間に向いています
  • 分電盤〜コンセント・照明(分岐回路):住宅ではVVFケーブル(ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)が代表的です。1.6mm・2.0mmなど径(mm表記)で呼ばれ、施工性に優れます
電柱から分電盤まで電柱住宅引込線責任分界点一次側電力量計CVケーブル(幹線・例)太さは sq 表記二次側分電盤主幹分岐主幹ブレーカーを切っても、ここまでは充電されたまま照明コンセントVVFケーブル(分岐・例)太さは mm 表記※ 一般的な低圧引込の例。線の太さは電流の大きさのイメージ
図1: 電柱から分電盤までの流れ — 主幹ブレーカーの手前までは常に充電されている。図は幹線をCV・分岐をVVFとした例

「一次側」「二次側」はどの機器を基準にするかで呼び方が変わります。図は電力量計を基準にしていますが、電力量計の二次側は、主幹ブレーカーから見れば一次側です。

ここで押さえておきたいのは、引込線から主幹ブレーカーの手前までは、主幹を切っても充電されたままという点です。電力量計は電気を計るための機器で、現場で回路を切り離すためのものではありません。分電盤の作業で無電圧になるのは主幹ブレーカーより負荷側だけなので、作業前には必ず検電器で電圧がないことを確認してください。

なお責任分界点は電力会社と需要家の設備の境目で、一般的な低圧引込では引込線の接続点がこれにあたります。ここから分電盤までが幹線です。

分岐回路側のVVFケーブルの許容電流・太さ選定はVVF許容電流早見表で詳しく解説しています。幹線(CV)と分岐(VVF)で表記単位が違う(sq vs mm)ため、現場で混同しないよう注意してください。

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主幹ブレーカーの容量が適正か疑わしい場合は、クランプメータで実際の負荷電流を測定するのが有効です(各電圧線を個別に、負荷が重なる時間帯に。一時点の値は最大需要を示しません)。実測を踏まえて必要なら容量を見直します(アンペア制エリアなら契約アンペア、最低料金制エリアなら住宅面積から想定した容量と比べます)。

主幹ブレーカーを交換するとき、一次側をどう停電させるか

図1のとおり、主幹ブレーカーの一次側は、主幹を切っても充電されたままです。交換作業では、この区間をどう扱うかを工事日程を組む前に決めておく必要があります。

原則:一般送配電事業者に「一時取り外し」を申し込む

引込線・計量器(電力量計)・電流制限器を一時的に取り外してもらえば、一次側を無電圧にできます。手続きの名称・窓口は事業者ごとに異なりますが、たとえば北陸電力送配電では、架空引込線・電流制限器・計量器等を一時撤去して再取付けする場合、**取外しと取付けを併せて1回の申込みとして諸工料(実費)**を申し受けるとしています(北陸電力送配電「諸工料」)。

手続きの名称・様式・費用区分・必要日数は会社ごとに異なります。 管轄の一般送配電事業者に事前に確認してください。

やむを得ず充電状態で作業する場合に、法令が求めていること

停電させられない事情がある場合でも、事業者には次の義務があります。

根拠求められていること
労働安全衛生規則 第36条第四号低圧の充電電路の敷設・修理の業務は特別教育(低圧電気取扱業務)の対象
第346条低圧活線作業では、労働者に絶縁用保護具を着用させるか、活線作業用器具を使用させる
第347条低圧活線近接作業では、充電電路に絶縁用防具を装着する(絶縁用保護具を着用し、それ以外の身体が充電電路に触れるおそれがない場合は省略可)

「絶縁グリップの工具を持っている」だけでは、これらの要件を満たしません。 絶縁グリップは万一触れたときの補助であって、活線作業用器具ではありません。

停電させた後にやること

一時取り外しをしてもらった後でも、作業前に必ず検電器で電圧がないことを確認してください。検電器の選び方は低圧用検電器おすすめ4選で解説しています。

労働安全衛生規則 第339条は、停電作業について次を求めています。

  • 開路に用いた開閉器に、作業中、施錠する/通電禁止の表示をする/監視人を置く
  • 残留電荷による危険を生ずるおそれのあるものは、安全な方法で確実に放電させる
  • 開路した電路が高圧または特別高圧であったものは、検電器具で停電を確認し、短絡接地器具で確実に短絡接地する

3つめは条文上「高圧又は特別高圧であつたもの」が対象で、低圧には検電・短絡接地の義務が明記されていません。ただし誤通電や確認不足による感電を防ぐうえで、低圧でも検電は欠かせません。

よくある選定ミス

  • ❌ 主幹ブレーカーだけ交換し、幹線を確認しない — 筆者が現場で見てきた中で特に多いミスです。幹線が細いままだと、ブレーカーが動作する前に幹線が発熱するリスクがあります
  • ❌ VVFの太さ(mm)とCVの太さ(sq)を混同する — 呼び方が違うだけでなく、許容電流の考え方も別表です
  • ❌ 動力(三相)の125%ルールを住宅の単相幹線にそのまま適用する — 前述の通り、適用範囲が異なります

よくある質問

関西エリアです。契約アンペアがないと聞きましたが、主幹ブレーカーは何Aにすればいいですか?
関西・中国・四国・沖縄は最低料金制のため契約アンペアの概念がなく、アンペアブレーカーも設置されません。主幹容量は住宅面積から想定する最大需要電力で決めます。分電盤メーカーの技術資料で内線規程準拠として広く紹介されている目安では、50m²以下=30A、70m²以下=40A、100m²以下=50A、100m²超170m²以下=60A です(同資料の表は170m²までで、170m²超は個別に負荷計算が必要です)。ただしオール電化住宅は同じ床面積でも需要電力が大きくなるため、個別機器の容量を積み上げて算定してください。主幹容量さえ決まれば、そこから先の幹線太さの対応は幹線太さの考え方はアンペア制エリアと同じです(早見表の値は布設条件で補正)。
契約アンペアを40Aから60Aに上げたい場合、幹線も交換が必要ですか?
幹線が既に60Aの主幹に見合う太さ(早見表の条件で CV14sq 相当)であれば主幹ブレーカーの交換のみで対応できる場合がありますが、筆者の経験では引込線・幹線が60A契約に足りない住宅も少なくなく、電力会社への申込み時に幹線状況の確認が必要です。古い住宅ほど幹線が細いケースが多いため、事前の実測・現地調査をおすすめします。
幹線の太さが分からない古い分電盤の場合、どう確認すればいいですか?
分電盤カバーを開け、主幹ブレーカーに接続されている電線の被覆に印字されたサイズ表記(例:CV 5.5sq)を確認するのが最も確実です。印字が読めない場合はノギスで実測する方法もありますが、CVの導体はより線なので、素線径と本数から公称断面積を照合してください(より線全体の外径から円として計算しても公称値にはなりません)。ただし分電盤内部は充電部が露出しており感電の危険があり、電線の接続変更・結線作業を伴う場合は電気工事士法上の資格が必須です。資格が必要なのは接続変更などの「電気工事の作業」ですが、分電盤内は充電部が露出しているため、**確認だけであっても有資格者に依頼するのが安全**です。
主幹ブレーカーの容量を、契約アンペアより大きくしても問題ないですか?
アンペア制エリアでは問題ありません。契約アンペア自体はスマートメーター(またはアンペアブレーカー)側で制限されるため、主幹ブレーカーが多少大きくても契約以上の電流は流れません。ただし幹線はその主幹ブレーカー容量に見合った太さが必要になるため、無駄にオーバースペックにするとコスト増につながります。なお関西・中国・四国・沖縄の最低料金制エリアは契約アンペアによる制限がないため、主幹容量と幹線太さは負荷容量から適切に選定する必要があります。
動力(三相200V)の主幹ブレーカーも同じ考え方で選べますか?
基本の考え方(幹線の許容電流 ≧ 負荷電流)は共通です。ただし動力回路は電動機の定格電流の合計が他の負荷を上回りやすく、始動電流を考慮した125%ルール(他の負荷の合計+電動機等の合計×1.25〔50A以下〕または×1.1〔50A超〕)が適用されるケースが住宅の単相幹線より多くなります。動力幹線の設計は個別に電技解釈第148条の該当項を確認してください。

まとめ:主幹ブレーカー容量選定の3ステップ

  1. 主幹ブレーカー容量を確定する(アンペア制エリア=契約アンペアを目安に/最低料金制エリア=関西・中国・四国・沖縄は住宅面積・負荷容量から算出)
  2. 早見表で対応する幹線太さを確認する(CV3心・気中・単独布設の代表値:30A→3.5sq、40A→5.5sq、50A→8sq、60A→14sq。実際の布設条件で補正)
  3. 既設の幹線太さを実測・確認し、不足していれば幹線ごと交換する

主幹ブレーカーの容量だけを見て幹線を見落とすと、火災リスクに直結します。容量UPの相談を受けたら、必ず幹線の太さもセットで確認してください。