「電気工事士の腰道具って何が入ってるの?」

現場を経験していない方には謎の多い「腰道具」。電工さんのベルトにぶら下がったあのポーチの中身を、第一種電気工事士の筆者が全部公開します

工具の選んだ理由や使い方のポイントも合わせて解説するので、これから腰道具を揃えようとしている方にも参考になるはずです。

腰道具とは?

腰道具とは、作業ベルト(腰ベルト)に取り付けるホルスターやポーチに工具を差して、体の周囲に携帯するスタイルの工具セットのことです。

電気工事の現場では、高所や狭い場所での作業が多いため、「両手を使いながら必要な工具にすぐアクセスできる」腰道具スタイルは必須といっていいです。工具を取りに降りる手間を省けるので、作業効率が大幅に上がります。

筆者の腰道具セット全公開

腰ベルト・サポーター

使用品:フジ矢 電工用腰袋セット

腰への負担を減らすために、幅広のサポーターベルトを愛用しています。工具が増えると総重量が4〜5kgになることもあるので、腰サポーターの品質はケチらないほうがいいです。

工具ホルスター・ポーチ

使用品:ニックス(KNICKS)KB-201DDSP 2段腰袋

工具を素早く抜き差しできる「差しタイプ」のホルスターを使っています。ニックスは革製品の品質が高く、耐久性が抜群です。10年以上使い続けているものもあります。

KNICKS (ニックス)KB-201DDSP

2段腰袋 KB-201DDSP

ニックスの総グローブ革2段腰袋。革製で耐久性抜群。

  • 総グローブ革
  • 2段構造
  • フチ・テープ巻ブラック

工具①:電工ナイフ

使用品:デンサン DK-670F(折りたたみ式・レンチ搭載タイプ)

VVFケーブルや CV ケーブルの外装を剥くための必需品。折りたたみタイプは安全性が高く、腰道具に差しておいても安心です。現場作業では常時携帯しています。DK-670F は 17×21mm レンチが搭載されており、ロックナット作業でも使えるのがポイント。

選んだ理由:デンサン製は刃の厚みと角度が電工作業に最適化されており、力を入れずに外装を剥けます。ライナーロック方式で刃が固定されるため安全性も高い。

デンサン (ジェフコム)DK-670F

電工ナイフ DK-670F(折りたたみ式)

17×21mmレンチ搭載の折りたたみ式電工ナイフ。ライナーロック方式。

  • 17×21mmレンチ搭載
  • ライナーロック方式で安全
  • 折りたたみ式

工具②:ペンチ

使用品:フジ矢 1050Z-175(電工ペンチ 175mm)

心線の切断・折り曲げ・ジョイント部の整形など、最も出番が多い工具のひとつです。鉄線φ3mm、銅線φ3.5mm、VA/VVF 2×3芯まで切断対応。

選んだ理由:フジ矢の電工ペンチはグリップ形状が絶妙で、長時間作業しても手が疲れません。刃の切れ味も良く、長年愛用しています。

フジ矢 (FUJIYA)1050Z-175

電工ペンチ 1050Z-175

フジ矢の175mm電工ペンチ。VVF 2×3芯まで対応。

  • 全長192mm
  • 鉄線φ3mm / 銅線φ3.5mm 切断対応
  • VA/VVF 2×3芯対応

工具③:ドライバー(プラス・マイナス)

使用品:ベッセル(VESSEL)ボールグリップドライバー No.220(+2×100mm)

コンセント・スイッチ・分電盤などのビス締め・緩めに毎日使います。

選んだ理由:ベッセルは国内電工ドライバーの定番中の定番。先端の硬度が高く、なめにくいのが特徴です。ボールグリップが太めで回しやすく、マグネット入りで作業効率も◎。コスパも非常に良いです。

VESSELNo.220 +2×100

ボールグリップドライバー No.220(+2×100mm)

ベッセル定番のボールグリップドライバー。マグネット入り。

  • プラス2番×軸長100mm
  • クロームバナジウム鋼
  • マグネット入り
  • ボールグリップ

工具④:ウォーターポンププライヤー

使用品:KNIPEX(クニペックス)8703-250 コブラ ウォーターポンププライヤー

ロックナットの締め付けや、太い電線管の作業に使います。全長250mm、25段階の調整機構つきで、パイプ径50mm、ナット幅46mmまで対応。

選んだ理由:クニペックスはドイツ・ヴッパータール製で品質が別格です。ボックスジョイント構造で横ブレがなく、プッシュボタンで開口幅を素早く調整できます。国産品より高いですが、一生使える工具です。

KNIPEX8703-250

コブラ ウォーターポンププライヤー 8703-250

ドイツ製・全長250mmのウォーターポンププライヤー。

  • 25段階の開口幅調整
  • パイプ径 最大50mm対応
  • ボックスジョイント構造で横ブレなし
  • プッシュボタン式調整

工具⑤:スケール(コンベックス)

使用品:タジマ Gロック-25 5.5m(GL25-55BL)

ケーブルの寸法出し・ボックスの位置決めなど、測定作業に毎日使います。25mm幅・JIS1級・ヨンゴーゴーピッチ表示付き。

選んだ理由:タジマのコンベックスは引き出しやすく、テープの切れ味・強度が信頼できます。爪のロック機構があると片手でも計測できるので作業効率が上がります。

TAJIMAGL25-55BL

Gロック-25 5.5m コンベックス

タジマの25mm幅・5.5m コンベックス。JIS1級・ヨンゴーゴーピッチ。

  • テープ幅25mm・長さ5.5m
  • JIS1級
  • ヨンゴーゴーピッチ表示
  • 片手ロック

工具⑥:ニッパー

使用品:フジ矢 770-150(電工名人 強力ニッパ 150mm)

細い電線(制御線・信号線など)の切断や、インシュロック(結束バンド)のカットに使います。ペンチより細かい作業向けで、電気設備工事のプロユースモデルです。

フジ矢 (FUJIYA)770-150

電工名人 強力ニッパ 770-150

電気設備工事のプロユースモデル。150mm。

  • 電気設備工事向け強力ニッパ
  • 150mm

工具⑦:電工ハサミ

使用品:マーベル MMS-833RN(電工ハサミ R刃)

VVFの外装カットや絶縁被覆のカットに。ナイフより安全に素早く剥けるので、特に細かい作業が多い日は重宝します。ギザ刃(R刃)でケーブルが滑らず、シャープな切れ味が長持ちします。

MARVELMMS-833RN

電工ハサミ MMS-833RN

ギザ刃(R刃)でケーブルが滑らない電工ハサミ。

  • R刃でケーブルが滑らない
  • シャープな切れ味

工具⑧:検電器

使用品:長谷川電機 HTE-610(低圧交流専用検電器)

活線(電気が流れている状態)かどうかを確認するための安全工具です。これがないと電気工事は始まりません。 HTE-610 はベストセラー HT-610α の後継機種で、AC 50V〜600V 対応、被覆の上からも検電可能。ボリュームで感度調整もできます。

感電事故を防ぐための最重要安全工具。ケチらずに信頼性の高い製品を選んでください。

長谷川電機HTE-610

低圧用検電器 HTE-610

AC 50V〜600V 対応の低圧交流専用検電器。HT-610α 後継機。

  • AC 50V〜600V 対応
  • 被覆の上からも検電可能
  • ボリュームで感度調整
  • 短絡防止の導電性ゴム検知部

工具⑨:ラジオペンチ

狭い場所での電線の引き回しや、細かい端子の整形に使います。プライヤーと違い先端が細いので、スイッチボックス内の作業に便利です。

工具⑩:カッターナイフ(予備)

電工ナイフが使いにくい状況用の予備として携帯。養生テープのカットにも使えるので汎用性が高いです。

ビギナー向け「まず揃えるべき7本」

腰道具を全部揃えようとすると予算が必要です。まず始めるなら、以下の7本を優先して揃えることをおすすめします。

優先順位工具理由
1電工ナイフケーブル外装剥きの基本
2ペンチ最も出番が多い
3プラスドライバー(No.2)ビス締めで必須
4マイナスドライバー(6mm)同上
5検電器安全のための絶対必要品
6スケール寸法出し全般に必要
7プライヤーロックナット締め等で必要

この7本があれば、一般的な屋内配線の基本作業はこなせます。ニッパーやハサミは後から少しずつ追加していきましょう。

腰道具を揃えるときの注意点

安物買いは長い目で損

検電器など安全に直結する工具で安価なものを買うのはリスクがあります。特に検電器はJIS規格対応・IEC規格対応品を選んでください。

自分の手のサイズに合わせる

ペンチやドライバーは実際に握ってみてから買うのが理想です。Amazonでも返品対応品が多いですが、できれば工具店で試握りしてから購入することをおすすめします。

まとめ

筆者の腰道具10本をまとめると以下のとおりです。

  • 電工ナイフ(デンサン DK-670F)
  • ペンチ(フジ矢 1050Z-175)
  • プラス・マイナスドライバー(ベッセル No.220)
  • プライヤー(クニペックス 8703-250)
  • スケール(タジマ Gロック-25 / GL25-55BL)
  • ニッパー(フジ矢 770-150)
  • 電工ハサミ(マーベル MMS-833RN)
  • 検電器(長谷川電機 HTE-610)
  • ラジオペンチ
  • カッターナイフ

初めて揃えるなら、まず「7本の基本セット」から始めて、現場経験を積みながら徐々に追加していくのがベストです。工具は育てるもの。長く付き合える一本を選んでください。