「第二種電気工事士の学科試験、独学で受かるの?」と不安になっていませんか。結論から言うと、正しい順序で勉強すれば初学者でも十分に独学合格が狙える試験です。

結論(先に要点)

  • 学科試験は 50問・100点満点・合格ライン60点(30問以上正解)、試験時間は 120分
  • 合格率は年度により変動しますが、おおむね 55〜62%程度 で推移
  • 配線図(鑑別含む)約20問法令・施工方法など暗記分野で60点を狙うのが定石
  • 学習時間の目安は 約100〜150時間(1日1〜2時間で2〜5ヶ月)

学科試験の合格率は例年おおむね55〜62%程度と、国家資格としては比較的高めの水準で推移しています(出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表データ。年度ごとの正確な数値は公式サイトの「試験実施状況」で確認してください)。筆者自身も独学で第二種・第一種電気工事士に合格した経験から、無駄なく合格点を取りに行く戦略をまとめました。

学科試験 50問・100点満点(合格ライン60点)一般問題30問+配線図問題20問(年度により変動)配線図問題約20問電気機器・器具・材料・工具約5〜7問施工方法約4〜6問配電理論・配線設計約4〜6問電気の基礎理論約4〜5問検査方法約3〜4問法令約3〜4問合計:50問 / 100点満点(1問=2点)合格ライン:30問正解 = 60点凡例最頻出(約20問)頻出・標準(約4〜7問)少なめ(約3〜5問)
図A: 学科試験50問の構成(公式は一般問題30問・配線図問題20問。分野別の厳密な内訳は非公開のため過去問傾向に基づく参考値)

学科試験の基本情報

まずは試験の全体像を押さえましょう。

項目内容
主管一般財団法人 電気技術者試験センター
開催上期・下期 年2回
出題形式全50問・四肢択一(一般問題30問+配線図問題20問)/筆記方式(マークシート)または CBT方式
試験時間120分
配点1問2点・100点満点
合格基準60点以上(30問以上正解)
合格率おおむね 55〜62%程度(年度により変動)
受験資格なし(誰でも受験可)

学科試験は60点で合格です。満点を狙う必要はなく、捨てる分野を作っても合格できます。これが独学合格を後押ししてくれる最大のポイントです。

出題範囲7分野と配点目安

学科試験は大きく7分野に分かれます。配点目安は以下のとおりです。

出題分野別の問題数(目安)⑦ 配線図(鑑別含む)約20問③ 電気機器・器具・材料・工具約5〜7問④ 電気工事の施工方法約4〜6問② 配電理論・配線設計約4〜6問① 電気の基礎理論約4〜5問⑤ 検査方法約3〜4問⑥ 法令約3〜4問⭕ ⑦ 配線図だけで約20問(40点分)— ここを最優先⭕ ⑥ 法令は暗記で確実に得点しやすい分野
図1: 学科試験7分野の出題目安(50問中・公式は厳密な内訳を非公開のため過去問傾向に基づく参考値)

① 電気の基礎理論(約4〜5問)

オームの法則・直流回路・交流回路・三相交流など、計算問題が中心です。数式アレルギーの方は最初に苦手意識を持ちやすい分野ですが、出題パターンは限られています。

オームの法則・電力公式マップVIR指で隠した値が答え電圧V = I × R電流I = V / R抵抗R = V / I電力P = V × I単位の凡例:V=電圧[V] I=電流[A] R=抵抗[Ω] P=電力[W]三角形の図は「V を I と R で割った関係」を視覚化したもの。求めたい記号を指で隠すと残りが式になる。
図B: オームの法則と電力公式マップ(V・I・R・P の関係を1枚で整理)

② 配電理論および配線設計(約4〜6問)

電圧降下・配線の太さ・幹線設計など、現場に近い計算問題が出ます。基礎理論と一緒に勉強すると効率的です。

③ 電気機器・配線器具・材料・工具(約5〜7問)

ブレーカー・コンセント・スイッチ・電線・ケーブル・工具の名称と用途を覚える分野です。暗記中心で点が取りやすい重要分野の一つ。

④ 電気工事の施工方法(約4〜6問)

金属管工事・合成樹脂管工事・ケーブル工事の施工ルールが問われます。図と一緒に覚えるのがコツです。

⑤ 検査方法(約3〜4問)

絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・導通試験など。測定器の種類と使い方を押さえましょう。

⑥ 法令(約3〜4問)

電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法の3本柱。暗記で確実に点を取りに行きやすい分野です。電気工事士法の原文はe-Gov法令検索で確認できます。条文番号と罰則を丸暗記するというより、「何が無資格でできて何ができないのか」の境界を理解しておくと、本番の引っかけ問題にも対応しやすくなります。

⑦ 配線図(鑑別含む)(約20問)

公式の試験構成では、50問のうち 配線図問題が20問 と最大ウェイトを占めます。図記号の読み取り、写真鑑別(工具・材料・機器の写真から名称を当てる)、複線図の理解などが中心で、暗記中心で得点を伸ばしやすい分野です。ここを優先的に攻略するのが合格への近道です。

配線図 頻出記号 チートシート配線図問題(約20問)の基礎となる15記号を1枚に整理電源(+表示)一般コンセントE接地コンセントWP防雨コンセント一般スイッチ33路スイッチ44路スイッチA自動点滅器Tタイマースイッチ白熱灯蛍光灯引掛シーリング(角形 = □)配線実線=露出 / 点線=隠蔽M電動機F換気扇(実物鑑別が主)※ 形状はJIS C 0303(構内電気設備の配線用図記号)に準拠した略図。実際の試験では各記号の細部もよく確認してください。
図C: 配線図記号チートシート(JIS C 0303 構内電気設備の配線用図記号 準拠の頻出15記号)

効率的な勉強順序:5ステップ

合格点(60点)を最短で取りにいくには、得点しやすい分野から手を付けるのが鉄則です。

1配線図・鑑別約20問を取りに行く30〜40時間2法令約3〜4問を暗記で10時間3施工方法・機器約10問前後25〜30時間4配電・基礎理論計算問題 約8〜10問25〜40時間5検査方法仕上げの約3〜4問10時間⭕ 暗記分野(1〜3)で 40点前後を狙う⭕ 計算分野(4)で 半分取れれば上乗せ可⭕ 検査(5)で仕上げ → 合格ライン60点へ※学習目安は約100〜150時間。1日1時間で3〜5ヶ月、1日2時間で2〜3ヶ月
図2: 学科試験 独学合格ロードマップ(目安100〜150時間)

ステップ1:配線図と鑑別から始める(最優先)

理由:暗記中心の配線図問題が約20問あるから。配線図記号と工具・材料の写真鑑別は、参考書をめくって覚えるだけで得点につながります。最初に「点が取れる感覚」を掴むのが、独学を続けるうえでの大きなコツです。

工具の写真鑑別が分からない方は、第二種電気工事士 技能試験に必要な工具セットで実物の写真を見ながら覚えると一石二鳥です。

ステップ2:法令を暗記で固める

法令は「電気事業法」「電気工事士法」「電気用品安全法」の3本柱。出題パターンが比較的固定的で、過去問を回せば約3〜4問を狙いやすい、コスパの高い分野です。

ステップ3:施工方法・電気機器・配線器具

ここで合わせて約10問前後あるので、合格の重要分野です。リングスリーブの選定や圧着マーク、金属管工事の施工ルールなど、実技にも直結する内容なので、技能試験対策の前倒しとしても役立ちます。

リングスリーブ関連はリングスリーブ vs 差込形コネクタの使い分けも併せてどうぞ。

ステップ4:配電理論・基礎理論

計算問題が苦手な方は、全問正解を狙わず半分取れればOKと割り切りましょう。オームの法則、合成抵抗、電圧降下の3パターンを押さえれば最低限の点は取りやすくなります。

ステップ5:検査方法(仕上げ)

絶縁抵抗・接地抵抗の基準値を覚えるだけで約3〜4問の得点源になります。最後の仕上げに回しても十分間に合います。

過去問の取り組み方

学科試験は過去問の使い回しが非常に多い試験です。同じパターンの問題が形を変えて繰り返し出題されます。

過去10年・最低5回分は必ず解く

参考書を一通り読み終えたら、すぐに過去問演習に入ってください。目安は最低5回分、できれば10年分。同じ問題集を3周すると、解答の根拠まで自然に身に付きます。

1周目:全分野ざっと解く(正答率は気にしない)

最初の1周は理解できなくても進めるのが鉄則。「こういう問題が出るのか」と全体像を掴むのが目的です。

2周目:分野ごとに正答率を出す

弱点分野を可視化します。正答率が50%を切る分野は、参考書に戻って復習してください。

3周目:本番形式で時間を計って解く

50問を90分以内で解く練習をします。本番は120分ですが、見直し時間を確保するため余裕を持って終わらせる訓練が必要です。

おすすめテキスト3冊

独学派に評価が高いテキストを3冊紹介します。1冊を完璧にする方が、複数買って中途半端に終わるより効率的です。

① ぜんぶ絵で見て覚える 第2種電気工事士 学科試験 すい〜っと合格(オーム社/藤瀧和弘 著)

初学者の定番。図解とイラストが豊富で、専門用語が苦手な方でも入りやすい構成です。本文と過去問解説のバランスが良く、これ1冊で合格まで持っていける実力派。

② 第二種電気工事士 学科試験 過去問題集(電気書院)

過去問集の決定版。過去10年分の問題を分野別・年度別に収録し、解説も詳しいのが特徴。すい〜っと合格でインプットした後の演習用に最適です。

③ HOZAN「電工試験の虎」(YouTube無料講座+公式テキスト)

工具メーカー HOZAN が運営する 「電工試験の虎」 という YouTube 無料講座が秀逸です。配線図の読み方や計算問題の解説を、動画で繰り返し確認できます。HOZAN 公式の練習用テキストや工具セット(DK-28/DK-29)と組み合わせると、学科〜技能まで一貫した学習が可能です。文字を読むのが苦手な方は動画併用がおすすめ。

CBT方式 vs 紙方式の選び方

2023年度から、学科試験は紙方式(マークシート)と**CBT方式(コンピュータベース)**から選べるようになりました。

項目紙方式(筆記)CBT方式
試験会場指定会場(年2回)全国のテストセンター(期間内で日時選択可)
解答方法マークシートパソコン画面でクリック
試験時間120分120分
結果通知後日後日(即時表示ではない)
計算用紙問題用紙に書き込みメモ用紙が配布される

CBT方式が向いている人

  • 平日に都合がつく方(紙方式は日曜開催が中心)
  • 試験会場まで遠い方(テストセンターは全国にあるため近場で受験できる)
  • パソコン操作に慣れている方

紙方式が向いている人

  • 問題用紙に直接書き込んで計算したい方
  • 配線図に線を引きながら考えたい方(CBTでは画面のみ)
  • 紙の方が落ち着いて取り組める方

配線図問題が約20問と最大ウェイトを占めるため、紙の方が解きやすいと感じる方も多いです。模試や過去問演習で自分に合う方を見極めてください。

学科試験合格後の流れ:技能試験への準備

学科試験に合格すると、約2ヶ月後に技能試験が控えています。

技能試験は40分で配線課題を完成させる実技試験

候補問題13問が事前に公表されており、その中から1問が当日出題されます。学科試験の合格発表を待たずに、自己採点で60点を超えていたらすぐ技能試験対策に入るのが鉄則です。

工具・練習材料を早めに揃える

技能試験の工具は2〜3万円、練習用の電線・器具セットも1万円〜3万円ほどかかります。試験直前は品薄になりやすいので、学科試験の手応えがあったらすぐ注文を。

工具選びは第二種電気工事士 技能試験に必要な工具セットで詳しく解説しています。

独学派 / スクール派 どちらが向いているか

第二種電気工事士の対策ルートは「独学」「通信講座」「スクール(職業訓練校・専門スクール)」の3つに大別されます。それぞれ向いている人を整理します。

独学が向いている人

  • 自分のペースで学習計画を立てられる
  • テキストと過去問を回す自走力がある
  • 学習費用を5万円以内に抑えたい
  • 仕事や家事の合間にコツコツ進めたい

通信講座が向いている人

  • 質問できる相手がほしいが、通学は難しい
  • 動画解説で理解を補強したい
  • 5〜15万円の予算で「合格率を安定させたい」
  • 1人だと挫折しやすい自覚がある

スクール・職業訓練校が向いている人

  • 失業給付・職業訓練受講給付金の対象になる
  • 工具を揃える初期投資を抑えたい(学校で借りられる場合あり)
  • 同期や講師との交流でモチベーション維持したい
  • キャリアチェンジで電気工事業界への就職を視野に入れている

筆者の周囲では「独学7割/通信講座2割/スクール1割」程度の比率で合格しています。自走力に自信がある方は独学、不安なら通信講座という選び方が現実的です。

FAQ

よくある質問

第二種電気工事士の学科試験は独学で合格できますか?
はい、十分に独学で合格を目指せます。合格率はおおむね55〜62%程度(年度により変動。一般財団法人 電気技術者試験センター公表データ)と国家資格としては比較的高めで、市販テキスト1冊と過去問5回分を回せば合格点(60点)が見えてきます。筆者自身も独学で第二種・第一種ともに合格しました(個人の体験です)。
勉強時間はどのくらい必要ですか?
約100〜150時間が目安です。1日1時間なら3〜5ヶ月、1日2時間なら2〜3ヶ月の学習期間を確保してください。電気の知識がゼロでも、配線図と暗記分野から始めれば挫折しにくくなります。
計算問題が苦手です。捨てても合格できますか?
計算問題(基礎理論・配電理論)の10問前後すべてを捨てると厳しいですが、半分(5問)を捨てて残り40問で60点を狙う戦略は十分有効です。オームの法則・合成抵抗・電圧降下の3パターンだけは押さえておくと安心です。
CBT方式と紙方式、どちらが受かりやすいですか?
問題内容・難易度・合格基準は同じです。配線図問題で書き込みながら考えたい方は紙方式、日程の自由度を重視する方はCBT方式が向いています。模試で両方試して合うほうを選んでください。
学科試験に落ちたらどうなりますか?
次回試験で再受験できます。上期に落ちても下期にもう一度チャレンジできるため、年2回のチャンスがあります。なお技能試験は学科合格者のみ受験できるため、まずは学科で60点を取ることが最優先です。試験スケジュールは年により変動するので、必ず公式の最新案内を確認してください。

まとめ

第二種電気工事士の学科試験(旧 筆記試験)は、正しい順序で独学すれば十分合格できる試験です。

  • 合格基準は60点(30問正解/50問中) — 満点を狙わず捨てる分野を作ってOK
  • 配線図・鑑別 → 法令 → 施工方法・機器 → 配電・基礎理論 → 検査方法 の順で勉強する
  • 過去問5〜10回分を3周すると合格点が見えてくる
  • 学習時間は約100〜150時間が目安
  • 試験スケジュール・申込方法は一般財団法人 電気技術者試験センターの公式案内で必ず確認

学科試験を突破したら、すぐに技能試験対策へ移りましょう。工具と練習材料の準備は早めが吉です。

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合格を心から応援しています。まずは過去問1回分を解くところから始めてみてください。